ベランダの防水リフォーム|種類と費用相場
ベランダやバルコニーは紫外線の影響を受けやすく、経年劣化した場合は速やかに補修することが大切です。
放置しておくとベランダの下地までダメージが広がり、高額なリフォームになることもあるため、注意が必要です。
この記事では、ベランダの防水リフォームの種類とその特徴、費用相場までご紹介しています。
目次
1.ベランダ防水のしくみと工事の種類
ベランダの防水リフォームは、大きく分けて、表面の塗り替えだけで済ませる場合とさらに下にある防水層まで補修する2種類があります。
まずはベランダ防水のしくみと種類について解説していきます。
防水層のしくみ
ベランダはコンクリートなどの下地の上に素地調整、防水層、トップコートを重ね塗りして防水加工を施しています。
最初に補修が必要になるのが一番表面にあるトップコートで、さらに期間が経過するとその下にある防水層が寿命を迎えます。
定期的にトップコートの塗り替えを行っていると、それだけ防水層の寿命も長くなりますが、劣化状態を放置していると、防水層だけでなく、さらにその下の下地まで補修しなければならなくなり、リフォーム費用が高額になる場合がありますので、早めに対処することが大切です。
ベランダ防水工事の種類と内容
ベランダの防水工事は、劣化している部分の範囲によって工事の種類が変わってきます。
トップコートの塗り替え|耐用年数5年
紫外線から防水層を守るのがトップコートの役目で、トップコート自体に防水性能はありません。
耐用年数は5年が目安なので、定期的なメンテナンスが必要です。
トップコートの塗料としては、耐摩耗に優れているポリエステル系と伸縮性が高く重ね塗りしやすいウレタン系があります。
FRP(繊維強化プラスチック)防水シート|耐用年数10年~15年
FRPという液体状の防水剤にガラス繊維といった補強材を合わせた防水シートを敷き詰めるタイプの防水層です。
1㎡あたり3kgから5kgと軽量のためベランダへの重量の負担が低く、衝撃に強くて防水性にも優れているため戸建ての狭いベランダやマンションのベランダ、ビルの屋上などによく採用されています。
デメリットは紫外線に弱い点と、伸縮性が低いため下地が木材や鉄などの、たわみの出る広い場所は不向きな点です。
ウレタン防水|耐用年数7年~15年
液体状のウレタン樹脂を塗っていく手法です。
ウレタン樹脂は乾いても弾力のあるゴム状に固まるため、複雑な部分でも繋ぎ目が自然で美しく仕上げることができます。
どのような下地にも対応できますが、厚みのあるウレタン樹脂を均一に塗るのは難しく、職人の手腕で品質に大きな差がつきますので、実績があり評判の良い修理業者に依頼するのがよいでしょう。
また、ウレタン塗料は紫外線に弱いため、トップコートを定期的に塗り替える必要があります。
シート防水|耐用年数10年~15年
塩化ビニールシートまたは合成ゴムシートを貼る防水層で、広い屋上や屋根などで利用されることが多い工法です。
凹凸があるような複雑な形状になっているベランダには不向きです。
塩化ビニールシートは耐久性・耐摩耗性が高く、最低限の下地処理で施工が可能です。
トップコートが不要な場合もあります。
一方で、経年劣化で硬化し破断しやすくなるデメリットがあります。
合成ゴムシートは伸縮性が高いため下地の膨張や伸縮にも柔軟に追従できる良さがあります。
ただし、密着工法でしか使用できない点や、紫外線劣化しやすい、シートが薄く衝撃に弱いなどのデメリットがあります。
マンション・アパートなどの集合住宅では共用廊下・階段の防水も重要
古いマンションやアパートでは、共用の廊下や階段は防水されていない設計が多くあります。
こういった物件をリフォームする際は、シート防水加工することをおすすめします。
防水性能を持ったモルタルでも10年を経過すると経年劣化し、雨漏りで下の階に被害が及ぶため、マンション・アパート経営では共用廊下や階段の防水加工にも注意が必要です。
2.防水リフォームが必要なサイン(軽度順)
耐用年数はあくまでも目安ですので、防水リフォームが必要なサインを見つけたら速やかに対処する必要があります。
放置しておくと徐々に深刻化し、補修工事も高額になっていくため注意が必要です。
ここでは、修繕が比較的軽いものから、下地まで補修工事が必要なケースまで軽度順に解説していきます。
表面の色あせ
トップコートは5年に一度の塗り替えが目安ですが、ベランダの床が色あせてきた場合は塗り替えのタイミングです。
表面の色あせではまだ防水層までダメージは広がっていませんが、放置しておくと紫外線によって防水層の劣化が早まります。
トップコートを塗り替えることで、紫外線から防水層を守る機能を回復させることができます。
コケや藻が落ちにくい
ベランダにコケや藻、カビなどが大量に発生しているのは防水性が低下しているサインです。
また防水性の低下だけでなく、防水層を破って根を伸ばしているような雑草であれば、放置しておくと下地までダメージが及ぶことがありますので注意が必要です。
ひび割れや剥がれ、めくれやふくれがある
ヘアーラック程度のひび割れであれば大きな問題はありませんが、幅0.3mm以上のひび割れが発生している場合はすぐにリフォーム業者に連絡しましょう。
トップコートだけの塗り直しで済むケースと、防水層まで劣化しているケースがあります。
さらに、防水層のシートや塗膜がめくれていたり、ふくれがある場合は下地から補修工事が必要になることもあります。
歩いたときにパタパタと音がする
ベランダを歩いた際にパタパタと音がしたのであれば、防水層が浮いてしまっている可能性があります。
なるべく早めにリフォーム業者に依頼して補修工事を行いましょう。
放置すると雨漏りの発生など、深刻な問題に発展してしまうこともあるため、注意が必要です。
雨のときに水がたまる・水が引かない
ドレン周辺にゴミがたまって水はけが悪くなっているケースもありますので、まずは清掃してみましょう。
それでも水はけが悪く雨水がたまるようだと、防水層が破れるなどしている可能性があります。
そういう場合はリフォーム業者に連絡して、点検やメンテナンスを行いましょう。
雨漏りしている
雨漏りまで発生している場合は、ベランダの防水性が最大限低下しており、防水層が破れてしまっている状態です。
防水層だけでなく下地の補修工事まで必要になるかもしれません。
この状態を放置しておくと建物の構造自体に深刻なダメージが及び、安全性の問題が出てくるため危険です。
雨漏りによるダメージが大きいほど高額なリフォーム工事になりますので、雨漏りに気づいたらすぐに修理業者に連絡して補修工事を行いましょう。
3.ベランダの防水リフォームの費用相場
最後に、ベランダ防水リフォームの費用相場について解説していきます。
トップコートの塗り替え費用
トップコートの塗り替えは、1㎡あたり2,000円から3,000円です。
ウレタン系よりもポリエステル系のほうがやや高めです。
トップコートの塗り替えだけであれば、2万円~8万円ほどが費用相場になります。
防水層のリフォーム費用
防水層までリフォームする場合は、トップコートの塗り替えとは別に防水層リフォーム費用がかかり、種類によって費用も異なります。
人気のFRP防水が一番高価ですが、工期を短く済ませることができます。
下地が木造や鉄の場合はウレタン防水になりますので、FRP防水よりも安くなりますが、工期が長いという特徴があります。
防水の種類 | 費用相場(1㎡あたり) | 工期の目安 |
FRP防水 | 4,000円~8,000円 | 1日~2日 |
ウレタン防水 | 3,000円~8,000円 | 3日~7日 |
塩化ビニールシート防水 | 3,500円~8,000円 | 1日~4日 |
ゴムシート防水 | 2,500円~7,000円 | 1日~4日 |
その他にかかる費用
ベランダの防水リフォームについては、最初に高圧洗浄を行います。高圧洗浄は作業費用も別途かかります。
高圧洗浄費用のほか、足場代や養生などを含めると、トータルの費用は10㎡のベランダで10万円から15万円というのが相場です。
ただし、下地から補修工事が必要な場合はさらに費用は上乗せになり、工期も長くなります。
必ずリフォーム業者に見積もりを出してもらい、どこまでのリフォームが必要なのか、どのくらいの費用がかかるのか確認するようにしましょう。
4.まとめ
ベランダは紫外線や雨風の影響を受けやすく、ダメージが出やすい場所です。
日々しっかりと状態を確認し、リフォームのサインを見つけたら早めに対処していくことで、ベランダ自体の寿命を延ばし、リフォーム費用の負担も軽減することができます。