中古住宅(空き家)を上手にリフォームするポイント
近年、中古住宅や空き家を購入し、自分好みにリフォーム・リノベーションして住む人が増えてきました。
政府が中古住宅の流通に力を入れていることもあり、さまざまな補助金・助成金制度も提供されています。
しかし「中古住宅を購入するのはなんとなく不安…」と感じている人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、中古住宅を購入してリフォームするメリット・デメリットを紹介します。
中古住宅(空き家)を相続、もしくは購入してからリフォームする際に知っておきたい資金計画の立て方や、活用できる可能性のある補助金・助成金制度を紹介します。
目次
1.中古住宅(空き家)のメリットとデメリット
中古住宅の購入やリフォームに対する不安を払しょくするために、まずは中古住宅にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを把握することをおすすめします。
あわせてデメリットへの対処法も確認しておくと安心です。
中古住宅(空き家)購入のメリット
まずは、中古住宅を購入するメリットから確認しましょう。
住宅取得の費用が安く済む
中古住宅を購入する最も大きなメリットは、家を新築するよりもお得にマイホームを手に入れられることです。
「2021年度 フラット35利用者調査」によると、首都圏における土地付き注文住宅の所要資金の全国平均は5,133万円。
対して中古戸建の購入資金は3,152万円でした。その差はおおよそ2,000万円にもなり、1,000万円をリフォームに投じても、まだ1,000万円もお得になることがわかります。
条件のいい場所が見つけやすい
住宅は駅前や商業地区など、利便性の良いところから建ち始めます。
そのため駅前に家を建てたいと思っても、立地のいい場所にはすでに家が建っていて、土地を見つけられないことが少なくありません 。
そのようなときに中古住宅を視野に入れると、人気のエリアでもマイホームを持てる可能性が高くなるのがメリットです。
自分好みにリフォームしやすい
中古住宅を購入すると、思い切って自分好みのリフォームができるのも魅力です。
「家は3度建てないと満足できるものにならない」と言われているように、いくら設計上はよく見えても、実際に建てると納得いかないことが多いのが現実です。
しかし中古住宅だと、すでに「箱」はできているので、実際の広さや動線をイメージしやすくなります。
そのため、より自分たちの好みや生活スタイルにあった空間を作りやすくなるのです。
中古住宅(空き家)購入のデメリット
続いて、中古住宅を購入するデメリットと対処法を解説します。
傷み具合がわからない
中古住宅は、実際に購入してみるまでどの程度の劣化や傷みがあるのかがわからないのがデメリットです。
これまで住んでいた人の住み方や、使ってきた環境による特徴的な傷みは、内覧しただけではなかなか見えにくいものです。
購入後に壁を剥がしてみたら、全体的にカビが生えていた…といったこともあり得ます。 物件の見極めは建築のプロでなければ難しいので、中古住宅の購入に際しては、物件選びから施工まで一緒に見てくれるリフォーム会社を選ぶのがおすすめです。
耐震基準などの安全基準が低い
中古住宅を購入する際に、耐震性に不安を感じる人も多いようです。
基本的には1981年以降の新耐震基準で建てられていれば安心ですが、その場合でも過去に発生した地震の影響を受けている可能性は否めません。
例えば地震で地盤が沈み、構造がゆがんでいることも考えられます。
建物の基本的な構造に問題がないかは、建築士など専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を受けることで不安を払しょくできます。
不動産会社やリフォーム会社に紹介してもらい、プロの視点で見てもらうと安心です。
リフォームが制限される場合がある
中古住宅を購入しても、法令や構造上の制限を受け、希望のリフォームができない可能性があります。
例えば昔の建築基準法で建てられていて、接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たしていない土地に建てられている家は、増築など大掛かりなリフォームは許可されません。
また木造住宅には、構造上抜けない柱や壁があるので、「間仕切り壁を撤去して広々としたリビングにしたい」と考えてもできない恐れがあります。
希望するリフォームがある場合には、それが叶えられる住宅なのか、リフォーム会社の担当者に見てもらうのが無難です。
近隣住民との世帯層の違い
中古住宅を購入すると、すでにできあがっているコミュニティーに新しく入ることになります。
近隣住民がどのような世帯層なのかを知らないまま購入してしまうと、周りは高齢世帯ばかりで、同じ年齢層の人がいなくて友達ができない…といったことにもなりかねません。
中古住宅を購入するときには、地元事情に詳しい不動産会社や施工業者に近隣住民の雰囲気なども聞いておくことをおすすめします。
2.中古住宅(空き家)購入リフォームの上手な資金計画
中古住宅といえども、戸建を購入してリフォームするには数千万円の費用がかかります。
ここからは実際に中古住宅を購入してリフォームするときの、上手な資金計画の立て方を紹介します。
住宅ローンとリフォームローン
中古住宅の購入とリフォームに際しては、住宅には住宅ローンを、リフォームにはリフォームローンを組むことができ、併用することが可能です。
ただしこの方法は、ローンが2本になることから手続きが煩雑になります。
また住宅ローンとリフォームローンの併用には、以下のような問題もあります。
中古住宅は住宅ローンの審査が厳しい
住宅ローンは、新築住宅の購入と同様に、金融機関から購入資金を融資してもらう方法です。
住宅ローンを借り入れるには、金融機関の審査を受ける必要がありますが、中古住宅は審査が厳しいといわれています。
それは、住宅ローンの借入に際しては住宅を担保に入れる必要があるものの、中古住宅は新築住宅よりも資産価値が低いと判断される傾向があるためです。
特に旧耐震基準で建てられた住宅や、現行の建築基準に沿って建てられていない住宅は、審査に通るのが難しいのが実情です。
住宅ローンに通りやすい物件かどうかは、不動産会社に確認しておく必要があるでしょう。
リフォームローンは無担保のため金利が高い
リフォーム資金のみを借り入れるリフォームローンは、住宅ローンと違って担保が不要です。
そのため古い住宅であっても、問題なく借り入れできます。
ただし無担保であるがゆえ、金利は少し高めです。
また借り入れ可能額も住宅ローンと比べると少なめで、さらに借り入れ年数も短く設定されているのが一般的です。
リフォームの規模によってはリフォームローンだけでは資金をまかなえない可能性があるでしょう。
「リフォーム一体型ローン」とは?
中古住宅の購入とリフォームを同時に行う場合、住宅ローンとリフォームローンを併用する代わりに「リフォーム一体型ローン」を利用する方法もあります。
リフォーム一体型ローンとは、住宅の購入資金とリフォームにかかる費用をまとめて借り入れられるタイプのローンです。
ローンはまとめたほうがお得
住宅ローンとリフォームローンを併用する代わりにリフォーム一体型ローンを組むと、借り入れ手続きが1度で済むのはもちろん、リフォーム費用にも住宅ローンの金利と借入期間が適用されるのがメリットです。
月々の返済額や総支払額も軽減できるので、結果的にお得になります。
リフォーム一体型ローンの注意点
住宅ローンとリフォームローンの併用の場合は、住宅ローンの借り入れ時には住宅価格だけが決まっていれば審査を受けられます。
しかしリフォーム一体型ローンを借り入れるには、金融機関の審査を受ける時点で、物件価格と一緒にリフォームにかかる費用の見積もりも提出しなければなりません。
見積もりを出すのに時間がかかってしまうと、別の人が先に物件を購入してしまう可能性があります。
中古住宅購入に詳しいリフォーム業者に依頼を
審査時にリフォームの見積書の提出が求められるリフォーム一体型ローンでは、購入したい物件が見つかれば、すぐにリフォームの内容まで決めなければなりません。
そのためリフォーム一体型ローンの利用を検討するのであれば、物件購入とリフォームを同時に任せられる会社を選ぶことをおすすめします。
中古住宅の購入とリフォームに慣れた業者であれば、手続きをスムーズに進められるので、出足が遅れて気に入った物件を逃すリスクを減らせます。
中古住宅購入とリフォームに使える補助金や税制の優遇措置
最後に中古住宅の購入とリフォームに使える、国や自治体が提供している補助金や税制の優遇措置を紹介します。詳細はリンク先からご確認ください。
中古住宅購入時の補助金
中古住宅購入時に活用できる補助金制度には、以下のようなものがあります。(2022年11月現在)
制度名 | 概要 | 補助額上限 |
こどもエコすまい支援事業 | 高い省エネ性能を有する住宅へのリフォーム | 30万円/戸 |
こどもみらい住宅支援事業 | 省エネ性能や子育て環境を向上させる住宅へのリフォーム | 原則30万円/戸 (中古住宅購入など一定の条件を満たした場合45万円・60万円) |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 高性能な断熱材などを用いて行う断熱リフォーム | 120万円/戸 |
次世代省エネ建材の実証支援事業 | 工期短縮可能な高性能断熱材などを用いて行う断熱リフォーム | 400万円/戸 |
住宅エコリフォーム推進事業 | ZHEレベルに引き上げる省エネリフォーム | 51万円/戸 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 住宅の長寿命化や省エネ化などが目的のリフォーム | 250万円/戸 |
住宅ローン減税
住宅ローンを組んで中古住宅を購入・リフォームした場合には、住宅ローン減税も受けられます。
住宅ローン減税の対象になると、毎年の住宅ローン残高の0.7%が、10年間控除されます。
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除期間 |
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 10年間 |
上記以外の住宅 | 2,000万円 | 10年間 |
「登録免許税」や「不動産取得税」の軽減制度
中古住宅の購入に際しては、登録免許税や不動産取得税の軽減措置も設けられています。
登録免許税 | 登記の種類 | 本則 | 軽減税率 |
土地 | 売買による所有権移転登記 | 2.0% | 1.5% |
建物 | 所有権の移転登記 | 2.0% | 0.3% |
建物 | 抵当権の設定登記 | 0.4% | 0.1% |
参考:No.7191 登録免許税の種類|国税庁
本則 | 軽減税率 | |
不動産取得税 | 4% | 3% |
参考:不動産取得税|総務省
軽減税率が適用されるには一定の要件がありますので、詳細はリンク先にてご確認ください。
固定資産税の軽減
リフォームの内容によっては、翌年の固定資産税の減税も受けられます。
リフォームの種類 | 軽減率 |
耐震リフォーム | 2分の1 |
バリアフリーリフォーム | 3分の1 |
省エネリフォーム | 3分の1 |
長期優良住宅化リフォーム | 3分の2 |
参考:住宅リフォームの減税制度の概要|一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
3.まとめ
マイホームを検討するときに、中古住宅を購入してのリフォームを視野に入れると、手頃な価格で自分好みの住居を実現しやすくなります。
ただし中古住宅の購入には、物件の目利きが難しい、住宅ローンを組みにくいなどのデメリットもあります。
リフォームに適した物件を見極め、スムーズに住宅ローンの手続きを進めるためには、物件の購入からリフォームまでをワンストップで行える会社を選ぶのがおすすめです。
中古住宅の購入・リフォームには、多くの補助金や減税制度が用意されているので、賢く活用してお得にマイホームを手に入れましょう。